『北里柴三郎と感染症の時代』 新村拓著 法政大学出版局 3520円
『北里柴三郎と感染症の時代』 新村拓著 法政大学出版局 3520円
国内外で感染症の予防と治療に尽力し、近代日本医学の父と呼ばれ、新1000円札の顔となった北里柴三郎。彼が日本でハンセン病などの伝染病とどう向き合ったかを研究者が詳細に解説する。北里は劣悪な環境に置かれたハンセン病患者の救護施設を熱心に支援。細菌学的な研究も続けるなど病気の対応に注力したが、彼の死後、人権を無視した絶対的な隔離策が広がり世界の潮流からかけ離れていく。感染症の時代を生きる上で教訓となりそうな歴史だ。(W)
週刊エコノミスト2024年8月27日・9月3日合併号掲載
『北里柴三郎と感染症の時代』 新村拓著 法政大学出版局 3520円