経済・企業 新開発
スタートアップのFuture、免許不要の"座れる"電動キックボード発売
温室効果ガスを排出しない電動バイクと、シェア用のモバイルアプリを開発するスタートアップ企業、Future(フューチャー、東京・港区、井原慶子代表取締役CEO)は8月28日、東京都内で記者会見し、免許が不要の電動キックボードを発売すると発表した。椅子を備え、座りながら走行できるのが特徴で、配達や営業など事業用の需要を見込む。
商品名は「FUTURE board2」。特定小型原動機付き自転車(特定小型原付)に分類され、16歳以上なら免許不要で乗れる。免許を持っていない若者でも、宅配サービスができるように配慮した。低い着座位置、口径の大きなタイヤと相まって、安定した走行が可能という。最高速度は時速20キロメートル。バッテリーは2本搭載でき、航続距離は最大100キロメートルだ。オープン価格だが、「30万円台後半を想定している」(井原氏)としている。
地元商店街の要望で開発
同社は自動車レーサーの井原氏が2020年10月に創業した。20年に新型コロナウィルスの感染が拡大する中、地元愛知県の商店街で、二酸化炭素を排出しない小型モビリティの開発を依頼されたことがきっかけとなった。「近所の商店街に買い出しに行ったときに、『全く顧客が来なくて困っている。うどんや弁当のデリバリーをしようと思うが、大きな配達バイクではなく、気軽に乗れる電動バイクを開発できないか』と相談された」(井原氏)。レースで世界を転戦する中で、自動車メーカーと車両開発をした経験があり、起業に踏み切ったという。
車両だけでなく、これらの電動車両をシェアするスマホアプリ「GOGO」を同時に開発している。9月以降に中国の大手決済サービス「アリペイ」の一機能としてGOGOが搭載される予定で、中国や東南アジアからの訪日客の利用を見込む。
回生ブレーキ搭載で1000㌔走れるアシスト自転車
会見では、下り坂などでエネルギーを回収できる回生ブレーキを前輪に搭載したアシスト自転車「FUTURE1000」も紹介した。1回の充電で、航続距離は1000キロメートルに達するとしている。井原氏は「シェア自転車は、事業者にとりバッテリーの交換に非常にコストがかかる。しかし、この製品は従来のアシスト自転車の10倍の航続距離。バッテリー交換の手間が省け、収益化しやすい」と説明した。希望小売価格は29万7000円(税込み)だ。
この日は、FUTURE1000の製品アンバサダーを務める神戸のご当地アイドル「グットクルー」のメンバー5人も応援に駆け付けた。「神戸は急な坂道が多いのですが、そこでもスイスイと進めます」「身長150センチ台の人にも配慮しタイヤのサイズは24インチと小さく、女性にも乗りやすい」とアピールしていた。(稲留正英・編集部)