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週刊エコノミスト Online 編集後記

谷道健太/平野純一

編集部から

 数日前、昼のテレビで米の品薄について見たと思ったら、帰宅途中に妻から「スーパーに寄ったら米が売り切れていた」とメッセージが届いた。駅前のスーパー1軒目は売り切れ、2軒目は「胚芽精米」2キロ入りが1袋だけ。あわてて買った。

 その晩、ユーチューブを眺めていたら、イタリアに住む日本人の旦那とイタリア人の奥さんの動画がおすすめに表示された。奥さんが手際よく作るスパゲティがうまそうだ。

 米の節約にもなると考え、翌日、同じものを作った。具材はミニトマト、ニンニク、バジルだけ。近所の店では愛知県産バジルをいつも1袋95円で売っている。トルコ製スパゲティも800グラムで300円弱だった。調理時間は15分ほど、食材費は1人分で300円ぐらいか。手抜き料理と思いきや、味は今まで自作したスパゲティで一番うまかった。今夏はパスタで乗り切るしかない。

(谷道健太)

 航空用語に「コフィン(棺桶)コーナー」というものがある。

 飛行機は高い高度を飛ぶ方が空気抵抗が少なく燃費がいい。ただ高高度は空気が薄いので、速度を上げないと揚力が足りずに失速してしまう。しかし速度を上げすぎるとマッハ(音速)に近づいて機体制御が難しくなり最悪の場合は墜落する。この速度を上げることも、下げることもできない危険な領域をコフィンコーナーと呼ぶ。

 日本の金融政策はまさにコフィンコーナーに追い込まれたかのようだ。速度を落とせば(金融緩和継続)円安にやられ、上げれば(金融引き締め)景気悪化や市場の混乱を招く。8月上旬には一時コントロールを失いかけた。国債を大量発行するから危険な領域を飛ばなければならない。機長の植田日銀総裁には慎重な操縦が求められる。日本経済が本当に棺桶に落ちないことを祈りたい。

(平野純一)

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