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週刊エコノミスト Online 編集後記

浜條元保/岩崎誠

編集部から

「東京にいるヒロから送られた論文を読んだとき、ただちに彼をアメリカに呼び寄せようと決めました」。ノーベル経済学賞を受賞した米経済学者、故ケネス・アロー氏がヒロの訃報に寄せたメッセージだ。ヒロ=宇沢弘文さんが亡くなって9月で10年になる。経済学者としての功績を振り返るシンポジウムが8月に都内で開かれ、宇沢さんが晩年精力的に取り組んだ「社会的共通資本」について多くの教え子が議論した。

「ゆたかな経済政策を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持する社会的装置」を意味する社会的共通資本を、新古典派や同派と距離を置く経済学者らが立場を超えて次々と論じていた。米プリンストン大学の清滝信宏教授が、ベトナム戦争を当初から痛烈に批判していた宇沢さんの鋭い洞察力、人物の大きさに思いをはせていたのも印象的だった。

(浜條元保)

 お盆休みに大津市の実家に家族で帰省した際、隣の京都をぶらぶらしようかとしたところ、暑さに耐えられず、結局JR京都駅近くの大型映画館でアニメ「怪盗グルーのミニオン超変身」をみて涼むことになった。同じことを考える人が多いのか館内はにぎわっていた。各国からの外国人旅行客は街中にたくさんいたが、酷暑のもとで重い荷物を抱えて観光にいそしむのが気の毒にも思えた。

 神奈川県を代表する砂浜の一つ、三浦海岸で今年、海水浴場が開設されなかったことが話題になった。海の家の設置希望者がいなかったことが直接の理由のようだが、炎天下が敬遠されて海水浴客が減少していることも背景にあるだろう。

 北海道など一部は別にして、日本の夏休みの風景は大きく変わっていますが、『週刊エコノミスト』は屋内でじっくり読まれる雑誌を出し続けたいと考えております。

(岩崎誠)

 ■次号のエコノミスト

2024年9月24日・10月1日合併号 9月17日(火)発売 定価990円

NISAの試練

「令和のブラックマンデー」で試される長期投資と金融リテラシー

宇沢弘文没後10年に考える「社会的共通資本」

都合により変更する場合があります。

以降の刊行スケジュール

10/8号 9月30日(月)発売 定価850円

10/29・11/5合併号 10月21日(月)発売 定価990円

10/15・22合併号 10月7日(月)発売 定価990円

【訂正します】

 本誌8月27日・9月3日合併号23ページ「新幹線網の今後」の記事で「24年度当初予算で調査費12億円が計上されただけとなった」とあるのは、「23年度に調査費12億円、24年度に同14億円を計上した」の誤りでした。

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