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未来の大器見いだす「日コン」「学生音コン」本選迫る 梅津時比古

2019年10月26日、第88回日本音楽コンクールピアノ部門で1位になった時の亀井聖矢さんの演奏
2019年10月26日、第88回日本音楽コンクールピアノ部門で1位になった時の亀井聖矢さんの演奏

クラシック 第93回日本音楽コンクール 第78回全日本学生音楽コンクール

 今、ピアノを中心に数多くの音楽コンクールがひしめくが、日本の若人の将来を担うのが「全日本学生音楽コンクール」(愛称・学生音コン)と「日本音楽コンクール」(同・日コン)である。優れた才能は学生音コンに入賞した後、日コンを目指す道のりをたどる場合が多い。

 今年の日コンの演奏部門は、予選開催順に声楽、トランペット、バイオリン、ピアノ、クラリネットの5部門。学生音コンは北海道大会、東京大会、名古屋大会、大阪大会、北九州大会によって異なるが、東京大会は、フルート、ピアノ、バイオリン、声楽、チェロ。学生音コンは各部門ごとに、小学高学年(ピアノ、バイオリンのみ)、中学(声楽、チェロは無し)、高校(全部門)、大学以上(声楽、チェロ)に分かれる。

 すでに、今年の学生音コン東京大会は東京オペラシティリサイタルホール、日コンはトッパンホールで予選が始まっており、参加者は酷暑が日本を覆う中、ひたすら楽器の練習に明け暮れているだろう。特に日コンは、世界のさまざまな国際コンクールのトップクラスと同等のレベルにあり、「お試し参加」はほぼいない。

 もちろん誰でも参加は可能だが、たとえば「日コンを受けたい」という希望を持っていても、師事する先生が「日コンのレベルに達していない」と判断すれば、受けさせてもらえないのが実情である。それだけに質の高い真摯(しんし)な演奏が繰り広げられる。この緊張感に満ちた時間は、聴衆にとっても、若人に精神を鍛えられる気がする。

 ショパン国際ピアノコンクールで2位に入った反田恭平さんも、ロン・ティボー国際音楽コン…

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