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経済・企業 ネット銀行&ポイント経済圏

ポイント意識率が最も高い楽天利用者 PayPayは決済でリード 吉田詩織

 一つの企業が運営するさまざまなサービス群を「経済圏」と定義し、楽天、PayPay、Vポイント、ドコモ、イオン、auの6大経済圏を対象に利用者の意識を調査した。

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「ポイント経済圏」どうしの競争が年々激しさを増している。MMD研究所では半年に1度、ポイント経済圏に関する利用者の調査を実施しており、調査の結果からは各ポイント経済圏のさまざまな特徴が見えてくる。ここでは、今年7月に実施した最新の調査結果を基に、利用者がどんな点を重視しているのか、その動向を紹介したい。

 MMD研究所では経済圏を「一つの企業が運営しているさまざまなサービス群(EC=電子商取引=サイト、通信サービス、決済サービス、金融サービス、エンタメ系サービスなど)」と定義している。こうした経済圏では、共通するポイント、アカウントを利用可能とすることで利用者の利便性を高くし、また共通ポイントを付与することによって利用者にお得感を与えている(表1、拡大はこちら)。

 今回は、規模の大きい楽天経済圏、PayPay経済圏、Vポイント経済圏、ドコモ経済圏、イオン経済圏、au経済圏という六つの経済圏を対象として、18〜69歳の男女2万5000人に今年7月、現在使っている共通ポイント(複数回答可)や、その中で最も活用している共通ポイントなどを尋ねており、経済圏によって結果はまったく異なるため興味深い。

「ためる・使う場所」に違い

 日常の消費行動の中でポイント経済圏を「意識している」と答えた人は61.5%、「意識していない」は38.5%と、多くの人がポイント経済圏を意識して消費行動をとっている。ポイント経済圏別でみると、「意識している」割合は楽天経済圏が43・9%と最も多く、PayPay経済圏の29.8%、Vポイント経済圏の26.5%と続いている(図)。

 楽天経済圏は早くからECサイト「楽天市場」やクレジットカード「楽天カード」などを軸として、さまざまなサービスからなる経済圏を構築した。利用者は楽天グループのサービスを使えば使うほど付与されるポイントが増える「SPU」(スーパーポイントアッププログラム)をきっかけに楽天経済圏を意識する人が多い。楽天グループは今、携帯電話の楽天モバイルを使うことでSPUの還元率が上がる施策を展開する。

 一方、PayPay経済圏はQR・バーコード決済をきっかけに意識する人が多く(表2)、加盟店の多さから決済サービス市場をリードしている。同じグループ内の決済サービス「LINEペイ」が来年4月でサービス終了を予定しており、LINEペイの残高をPayPay残高へ移行する機能も提供されるという。グループ内で重複するサービスを集約し、より強いサービスとするための統廃合を進めていくとみられる。

 Vポイント経済圏は、今年4月にTポイントと統合して新生「Vポイント」となった。約7000万人の有効会員数を誇った旧Tポイントと、三井住友フィナンシャルグループの金融サービス基盤が統合され、会員数と加盟店数がともに拡大している。今後は、金融以外の関連サービスをどう拡大し、Vポイントの認知度をいかに引き上げていくかが問われる。

 ドコモ経済圏のdポイントとau経済圏のPontaポイントは、ためる・使う場所では「コンビニエンスストア」がトップなのに対し、楽天経済圏の楽天ポイント、PayPay経済圏のPayPayポイントは「ECサイト、アプリ」がトップだった。dポイントとPontaポイントが今後、経済圏を拡大するには、オンラインでの利用場所を増やしていくこともカギとなるだろう。

 イオン経済圏は地域に密着した小売りネットワークが強みで、利用者が意識するきっかけとしてWAONで知られる「電子マネー」がトップに挙がる。イオングループ系列店舗での還元率の高さや利便性が利用者に評価されている。

(吉田詩織〈よしだ・しおり〉MMD研究所 研究員)


週刊エコノミスト2024年9月17日号掲載

ネット銀行&ポイント経済圏 経済圏の利用者調査 「意識」の割合が最も高い楽天 PayPayは決済でリード=吉田詩織

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