週刊エコノミスト Online 編集後記

北條一浩/桐山友一

編集部から

 あと2回の放送で終わってしまう。これを書いている9月25日(水)、そんな感慨にとらわれている。NHKの連続テレビ小説「虎に翼」のことだ。

 日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルに主人公を設定したこのドラマは、真正面から太い声で堂々と俳優に理想論を語らせた。「またきれいごとを」と視聴者が感じることを承知で正義を訴え、何度も「愛」という言葉を連発した。

 そんな「きれいごと」が説得力を持つのは、演出の他に綿密な歴史のリサーチを行い、憲法を含め法律を理解するための不断の努力を脚本家の吉田恵里香氏はじめ制作陣が怠らなかった成果であると思う。

 女性がいかに徹底的な不平等下に生きることを余儀なくされてきたか、私はこの作品であらためて思い知らされた。

 あと2回。最後までしっかりと自分の目に焼き付けよう。

(北條一浩)

 新聞記者の新人時代、知り合いの警察官との飲み会の席に、車で来ていた別の警察官も同席した。別の警察官は「代行運転を呼ぶ」と先に帰ったが、驚いたのは翌日。その警察官は自分で車を運転し、他の車に追突して逃げたとして、当て逃げなどの容疑で逮捕された。

 参考人としての事情聴取で私が検察官に何度も聞かれたのが、その警察官にビールを何杯ついだか。酒量の特定で運転時のアルコール濃度を割り出したいのだろうが、全然覚えていない。それでも検察官は「4〜5杯ぐらいか?」と食い下がる。

 根負けして「そうだったかもしれません」と答えると、検察官が作文した私の一人称の供述調書が完成し、長い事情聴取が終わった。記憶があやふやでも、作文次第で重要な証拠になってしまう。無罪となった袴田事件の再審判決で、一人称の供述調書の信用性に疑問を呈したのはまさに画期的だ。

(桐山友一)

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