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教養・歴史 書評

多種多様な法廷を傍聴 現役弁護士による旅行記 楊逸

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『ぶらり世界裁判放浪記』(原口侑子著、幻冬舎、2420円)は、若き有能な弁護士が東京の法律事務所をやめて旅に出て、行った先々の国で法廷を傍聴するいっぷう変わった旅行記だ。

 きっかけとなった「裁判所を見に行こうと思って」の一言は、旅行中のエチオピアで予定を聞かれ、半ば「思いつき」で発したそうだ。しょせん一観光客であり言葉の壁もあった。それでも法廷に座ってあたりの情景をスケッチで「記録」するように努めた。マラウイの「青空裁判」からブラジルの「ジャスティスTV」(裁判のみならず裁判官があれこれ議論する評議までもネット中継で流しているというもの)まで体験した。ところが我が母国・中国の成都では、「事件関係者」でないのを理由に断られてしまった。

 このほかにも興味深い事例がたくさん出てくる。ルワンダの法廷では、流れ作業的な審議でさばいていく30人の被告の中に、「妻殺し」という重大事件の者も交ざっていた。また「自白」を理由に弁護人すらついていないケースを目の当たりにし、違和感を覚えたそうだ。というのは前日、著者が「虐殺記念館」で見た、1994年に起きたフツ族によるツチ族の「大虐殺」の展示に「加害者側の民族とされるフツ族の非難に終始していて、(中略)その背景に関する歴史的記述は、予想外に少なかった」のを見たからだ。著者は続ける。「『結局何がこの虐殺を引き起こしたのか』の考察もほぼない。それに証言ビデオは被害者のものだけで、加害者のものはひとつもなかった。展示の『立場』があまりにも明確なのだった」

 裁判官や被告人の身なりや表情ないし法廷という場の雰囲気を、確かな観察眼で捉え、そこに秘められたその国の司法制度ないし歴史文化、社会人情を浮き立たせた一冊だ。

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 ユグドラシルという1本の巨樹に神や人間、巨人などさまざまな種族が暮らす九つの世界がある、というのは北欧に伝わる世界原始の形だ。…

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