新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

中国でのEV不振で危機的な独自動車業界 VWは国内工場閉鎖も示唆 熊谷徹

工場出荷されるフォルクスワーゲンの新車(2024年9月、ドイツ東部ツウィッカウ) Bloomberg
工場出荷されるフォルクスワーゲンの新車(2024年9月、ドイツ東部ツウィッカウ) Bloomberg

 電気自動車(EV)の販売低迷や中国市場でのシェア減少により、ドイツ自動車業界が減益決算や過剰な生産能力などの困難に陥っている。

 日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は9月4日付電子版で、「フォルクスワーゲン(VW)が経費削減策の強化を発表。VWの今年上半期の営業利益は、前年同期比で約11%減少。経営陣は、主力車『ゴルフ』などを生産する中核部門(コアグループ)の過剰生産能力を減らすために、国内の一部の工場の閉鎖や従業員解雇も視野に入れている」と報じた。

 VWが過去に国内の工場を閉鎖したことはない。FAZは、「ドイツのVW社員は、事業所評議会(企業内組合)が1994年に経営側と結んだ雇用保証協定によって解雇から守られている。この協定は2029年まで続く予定だったが、今回経営側はこの合意を破棄した」と伝えた。経営陣は、「欧州での販売台数は、コロナ禍前の水準を回復していない。1~2カ所の国内工場が余分だ」と指摘したという。

 リストラの焦点は、中核部門の営業利益率の低さだ。経済紙『ハンデルスブラット』は8月1日付電子版で、「今年上半期のコアグループの営業利益率は2.3%と低い水準にある」と指摘した。仏ルノーの8.1%、イタリア・フィアットを傘下に置くステランティスの7.8%よりも大幅に低い。経営陣は今回のリストラによって、営業利益率を2.3%から6.5%に引き上げることを目指している。

内燃車・中国依存が裏目

 同紙は「従来VWは国内の低収益率を、中国からの利益で補うことができた。VWは中国市場シェアが減っていることから、中国からの収益で国内の低収益を補うことが難しくなった」…

残り720文字(全文1420文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事