『水と清潔 風呂・トイレ・水道の比較文化史』 福田眞人著 朝日新聞出版 1870円
『水と清潔 風呂・トイレ・水道の比較文化史』 福田眞人著 朝日新聞出版 1870円
日常生活に不可欠な水が、清潔という概念とどのような関係をたどってきたのか、国内外の歴史をひもといた研究書だ。古代ローマでは共同浴場が営まれ、市民が日常的に使っていた。しかし、中世ヨーロッパはキリスト教で体を洗っていないことが宗教的苦行となり、むしろ称賛されたというから驚きだ。友人同士ながら夏目漱石は温泉好きで、正岡子規は風呂嫌いだったことなど、水と人のさまざまな結び付きが紹介されており、実に楽しく勉強になる。(W)
週刊エコノミスト2024年11月12・19日合併号掲載
『水と清潔 風呂・トイレ・水道の比較文化史』 福田眞人著 朝日新聞出版 1870円