民主化移行期のブータンを舞台に二転三転する物語は「えくぼのある映画」だった 芝山幹郎
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映画 お坊さまと鉄砲
ブータンという地名を聞くと、大方の人が「世界一幸せな国」と答えるのではないか。ヒマラヤの山奥に位置し、人々が穏やかに暮らす「地上最後の桃源郷」というイメージは、広く世間に行き渡っている。
ただし、実情はそう単純ではないらしい。経済や軍事やテクノロジーなど、地理的にも歴史的にもさまざまな問題が入り組んでいるからだ。それでも、テレビの導入やインターネットの認可が世界で一番遅かった(20世紀の末らしい)と聞くと、なんとなく心が和む。
そんなブータンで国王が譲位を表明し、民主主義体制への移行が明らかにされたのは、2006年のことだった。「お坊さまと鉄砲」は、その時代を描いた映画だ。舞台は奥地にあるウラという村。選挙の仕組みを知らない人々のために、村では4日後に模擬選挙が行われることになっている。
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週刊エコノミスト
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