週刊エコノミスト Online 編集後記

浜條元保/岩崎誠

「石川先生がご存命だったら……」。10月の「宇沢弘文没後10年企画」で関係者を取材すると、幾度となくこんなせりふを耳にした。1998年6月、51歳という若さで亡くなった石川経夫さんのことだ。

 同じ頃、経済書籍編集者のMさんに出会った。熱く経済学を語る彼女と意気投合。そのMさんから後日送られてきたのが、玄田有史著『人間に格はない』。師匠石川さんを慕う玄田さんの愛情あふれる本である。同時に経済学者、人間としての石川さんのすごさや深みが圧倒的な筆力で伝わってくる。

 小宮隆太郎さんや宇沢さんから指導を受けた伝説の経済学者・石川経夫に迫る特集をやろうと心に決めた。取材協力者は宇沢さんの評伝を書いたジャーナリストの佐々木実さん以外に思い浮かばなかった。彼はいま石川さんの妻・幹子さんと接点があるという。ピースがすべてそろった。

(浜條元保)

 ソニーグループから独立して10年となるパソコンメーカーの「VAIO」(長野県安曇野市)を、家電量販大手ノジマが買収するとのニュースを聞いて、千葉・幕張で講演した米アップルのスティーブ・ジョブズ氏を思い出した。

 私がかつて当編集部に在籍した2000年ごろ、アップルの経営トップに復帰したジョブズ氏が幕張の見本市に現れた。記憶に残っているのはジョブズ氏が「私は『VAIO』になりたい」と叫んだことだった。当時、ソニーのパソコンVAIOは斬新なデザインで世界を驚かせ、多くの支持を集めていた。日本人へのリップサービスもあろうが「こういうのをやりたかった」という悔しさもあったのではないか。

 その後、VAIOは曲折がありながらも生き残った。ジョブズ氏が憧れたほどのブランド力は簡単には崩れないことを示したと思う。

(岩崎誠)

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