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株安の理由は、経済指標の悪化=藻谷俊介

GDP(国内総生産)は既に頭打ち
GDP(国内総生産)は既に頭打ち

 2月に世界規模で株価が急落してから半年が経過した。その間にも何度か楽観論が台頭したが、いずれも長続きせず、結果として相場はじわじわと後退した。

 もちろん今はトルコ・リラの暴落が株安の理由とされている。しかし、一つ一つの小さな理由はその場その場で付けられたものであり、単体で全期間を説明できるものではない。半年間、世界の金融市場を覆ってきた雲の正体は、筆者が本欄で解説してきたような、各国の経済指標の減速や悪化と考えるべきである。不安や臆測ではなく、現実の統計に表れた変化の反映だ。

 株価調整の長期化に業を煮やしたためか、最近になって景気報道にも多少の変化が見られるようになった。これまでの指標報道は、「たとえ悪いデータが出ても一時的なものであり、その後の倍返し的な回復で覆される」というバイアスがかかっていた。例えば今年1~3月期の日本がマイナス成長だった時も、それは「転換点」ではなく「通過点」である、なぜなら世界景気は順調だからだ、といった説明が支配的だった。

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