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企業は本当に利益を還元していないのか=星野卓也

     アベノミクス始動後、企業が毎年、最高益の更新を続けるなか、利益が増えた割に設備投資や人件費を増やさない、として“もうけを還元しない企業”が批判の対象となっている。9月に公表された財務省「法人企業統計年報」によれば、労働分配率は66・2%でバブル期を下回る43年ぶりの低水準にまで低下、設備投資対キャッシュフロー比率は59・4%と低位に沈んでいる。

     しかし、これらの数値は実態を正しく捉えていない。それは、これらの値が「法人企業統計」の持つバイアスを考慮していないからだ。実は、法人企業統計には利益の値が“二重計上”されており、実態より過大になっている。これは、法人企業統計が「単独決算」の財務諸表を集計して作成されているためだ。

     問題になるのは例えばホールディングス形態など、国内に親子関係を持つ企業の場合である。子会社があげた利益を親会社に配当する場合、その配当は親会社の売り上げ等となり、利益の原資となる。こうした場合に法人企業統計では親会社の利益と子会社の利益がそれぞれ計上され、ダブルカウントが生じる。

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