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IT関連財の在庫増に歯止めかからず=斎藤太郎

2018年7月の鉱工業生産指数(速報)は前月比0・1%の低下となった。6月速報と同時に公表された製造工業生産予測調査では、7月は前月比2・7%の高い伸びとなっていたが、西日本豪雨による工場の稼働停止の影響などから輸送機械を中心に生産計画から大きく下振れた。

 鉱工業生産は18年1~3月期に前期比1・3%減と8四半期ぶりの減産となった後、4~6月期は同1・3%増と持ち直したが、月次でベースでは5月から3カ月連続で低下している。6月は大阪北部地震、7月は西日本豪雨の悪影響が大きく、8月以降は挽回生産も期待できる(8月の製造工業生産予測指数は前月比5・6%)。このため、生産の回復基調が途切れてしまったとみるのは早計だが、8月、9月も台風上陸、大地震による工場停止が相次いでおり、生産が明確に上向くまでには時間がかかるかもしれない。

 自然災害による生産の下振れはいずれ解消されるが、1月9日号の本欄で指摘したIT関連財の在庫指数の上昇傾向に依然として歯止めがかからない点は気になるところだ。

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