トランプは貿易戦争から拡張財政へ=渡辺浩志
米中貿易戦争は中国の手詰まり感と米国の達成感が意識され始めた。
中国の作戦は(1)報復関税、(2)景気対策、(3)元安容認だ。しかし、関税合戦は米中の貿易額に圧倒的な差があり、中国は米国に太刀打ちできない。ならば、と中国は景気対策を行い徹底抗戦の構えだが、これは経済の構造改革を棚上げにし、後に過剰債務や不動産バブル等をより深刻化させる。
元安容認も破滅的だ。中国の金融緩和は米中金利差を縮小させ元安圧力を生むが、これは加速的な資本流出と止めどない元安の連鎖につながる。また、中国が元安を容認すれば米国は関税率を引き上げる。貿易戦争と通貨戦争の併発は中国経済に大打撃を与える。八方ふさがりの負け戦は習近平主席の政治資本をも毀損(きそん)しよう。もはや中国は、米国からの輸入拡大で貿易戦争の終結を模索するしか道はない。
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週刊エコノミスト
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