財政拡張が米国景気を押し上げる=足立正道
世界経済の最近の特徴は、株式市場の動きからみても鮮明だが、米国独り勝ちと言える。すなわち、全体として堅調でも、米国経済の強さと欧州・新興国との乖離(かいり)が鮮明になっているのだ。この構図が今後どう展開するかが市場の大きな関心事である。
楽観論は、米国の強さに欧州や新興国がキャッチアップするシナリオ。一方、悲観論は、米国の強さが剥落して、世界経済全体が一斉に弱まるシナリオ。数年の間にどちらかになるとみておいていいだろう。
米国の強さは財政拡張(減税)に伴うものであり、早々に息切れするのではないか、と思っている読者も多いかもしれない。しかし、OECD(経済協力開発機構)によれば、財政政策(歳出と減税の両方を含む)による景気刺激の効果は、2018年より19年の方がわずかながら大きい(図1)。
残り757文字(全文1106文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める