中国経済は減速から再加速へ=藻谷俊介
金融市場の世論が非常に混沌(こんとん)としている。それは時間的な前後関係がきちんと整理されないために、因果関係が曖昧になっているためであろう。相対的に好調な米経済に引きずられる形で、日本経済についてもかなり楽観的な報道が最近まで尾を引いた。そのため、今ごろになって台頭している慎重論は、いずれも目下の問題である米中間の貿易戦争か、新興国の通貨問題を不振の理由にする傾向がある。
しかし待ってほしい。日本の鉱工業生産は早くも年初から踊り場に入っている。以前も紹介した海外からの工作機械受注は、転換の遅い前年同月比ではようやく8月からマイナスになったのだが、季節調整ベースでは昨年末にピークアウトしている。その時点では、貿易戦争も新興国通貨の問題も発生してはいなかったことを忘れるべきではない。これまでの問題と、ここからの問題を混同してはならないのである。
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週刊エコノミスト
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