週刊エコノミスト Online編集後記

編集部から 花谷美枝/浜条元保

編集部から

 夏休みの鬼怒川温泉は旅行客でにぎわっていた。ただ、異様な雰囲気の一角があるのが気になった。廃業した宿泊施設が放置されているのだ。

 バブル崩壊後、団体旅行客が激減、そこに地元の足利銀行の経営破綻が追い打ちをかけ、複数のホテルが廃業に追い込まれた。それらが取り壊しもままならぬまま廃虚化している。外壁には汚れやさびが浮き、窓ガラスは割れ、中は暗い。

 朽ちゆく鉄筋コンクリートの建物が渓谷沿いに並ぶ様はある意味で壮観だが、家族連れが多数訪れる温泉街には似つかわしくない。安全面から見ても対応が必要だ。

 時代の変化に対応できなかったホテルが廃業するのは仕方ない。だが足利銀行が過剰融資で設備拡張競争を後押ししていた側面もあり、廃虚は銀行の行き過ぎた融資の傷痕ともいえる。同じことがアパート業界で起きなければいいが。

(花谷美枝)

♪できるかな できるかな♪ このオープニングソングにご記憶はあるだろうか。NHK教育テレビ「できるかな」の主人公・ノッポさんにご登場いただいた(48ページ)。

「暑い、暑い、異常だね。地球がおかしくなっている」。インタビューした日も30度をはるかに超える猛暑。84歳になるノッポさんの身にこたえるはずだが、長年、番組を通じて接してきたおチビちゃんたちの先行きを案じた。「便利な時代には違いないが、何かがおかしい。大変な時代におチビちゃんたちは生きていかなければならない」。

 さらに気にするのは、きな臭くなるご時世。戦中に疎開体験を持つノッポさんは、「寿命が1000年あれば、100年に1回戦争を繰り返せば、人間も懲りるだろうが、それは無理。人間は本当に愚かだ」と嘆く。「自分を含め大人が悪いが……」と、おチビちゃんの行く末を心配した。

(浜条元保)

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 本誌9月4日号34ページの見出し「時価総額1兆円のアップル」とあるのは、「1兆ドル」の誤りでした。

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