論壇・論調 独で高技能移民増やす法案 深刻な人手不足の解消なるか=熊谷徹
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高技能人材の不足に悩むドイツの連立与党は、EU(欧州連合)域外からの高学歴・有資格移民を増やすための新移民法案について合意した。同国ではその内容を高く評価する論調が見られる。
ドイツの日刊紙『ハンデルスブラット』のM・コッホ記者は、8月16日付の電子版で法案の概要を解説。「これまでドイツでは、企業が外国人を採用したいと思っても、まず労働局がそのポストをドイツ人もしくはEU域内の失業者で埋められるかを審査しなくてはならなかった。ゼーホーファー内相の法案は、この制度を廃止することで、EU域外の有資格外国人の採用をスピードアップする。さらにこれまで大卒の外国人に対しては、職探しのために半年までドイツに滞在できるビザが与えられたが、将来は職業資格と一定の財産を持ちドイツ語を話せる外国人も半年まで滞在できる制度を導入する」と報じた。
コッホ記者は、「ドイツでは高技能人材の不足が、経済成長を阻む足かせとなっている。ケルンのドイツ経済研究所によると、現在の人手不足のために同国の国内総生産(GDP)は300億ユーロ(3兆9000億円)少なくなっている。人手不足が深刻な職種は看護師、介護士、タイル職人、機械電気工、列車の運転士からソフトウエア開発技術者まで多岐に及ぶ。ドイツ商工会議所(DIHK)のアンケートによると、10社のうち6社…
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週刊エコノミスト
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