週刊エコノミスト Online編集後記

編集部から 米江貴史/桐山友一

編集部から

「本気で発言しているのか」。安倍晋三首相が8月26日、自民党総裁選(9月20日投開票)立候補表明で「(昨年10月の)総選挙で国民から大きな支持を頂いた」と述べ、そう禁じ得なかった。自民、公明両党は議席数の3分の2を確保したが、政党支持の指標となる比例代表の自民得票率は3割。小選挙区制の「妙」で勝った。

 総裁選は安倍首相圧勝ムードが報じられている。だが毎日新聞の世論調査によると「次期総裁にふさわしい」のは、安倍首相32%、石破茂元幹事長29%。国会議員票の「妙」に支えられる結果になるかもしれない。

 昨年取材した亀井静香元政調会長は、公認権をはじめ党本部への権力集中を批判。近年の総裁戦では激しい政策論争は聞こえず、選挙後の処遇が党首選びを左右しているようだ。総裁を選べなくとも地元選出議員の行動に注目し、次の国政選挙の投票に生かしたい。

(米江貴史)

 朝鮮半島の南北首脳会談が9月18~20日に決まった。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、韓国からの特使団に対し、2021年1月に満了を迎えるトランプ米大統領の1期目任期内に「(米国との)敵対の歴史を清算し、非核化を実現したい」と表明したという。これは本気と考えていいだろう。

 北朝鮮にとって脅威である在韓米軍の撤収に、トランプ大統領は言及した。このタイミングを逃せば、非核化のチャンスがないのは北朝鮮も同じだ。多額のコストがかかる核開発や経済制裁が国家財政を圧迫し、経済を疲弊させる。非核化はむしろ、国家を維持するための決断ではないか。

 そして、朝鮮戦争の終戦宣言、平和協定が結ばれれば、朝鮮半島に緩やかな連邦国家が誕生するだろう。韓国・釜山から欧州まで鉄道もつながるに違いない。東アジアの劇的な変化は近い。

(桐山友一)

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 本誌8月28日号19~22ページの「楽天会計マジック」で、「18年6月に総額1000億円の社債を発行」とあるのは「最大6000億円のうち、最大2000億円をハイブリッドファイナンス(資本と負債の中間的性質を持つ資金調達)等により調達することを4月に公表」でした。

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