週刊エコノミスト OnlineBook Review

『良き社会のための経済学』 評者・土居丈朗

著者 ジャン・ティロール(経済学者) 村井章子訳 日本経済新聞出版社 4200円

市場と経済学者を擁護 共通善に向けた啓蒙の書

 知的好奇心に満ちた読者に向け、経済学の考え方をわかりやすく解説した書である。

 著者は、2014年度のノーベル経済学賞を受賞した経済学の世界的権威。本書には、大家ならではの内容が多く盛り込まれている。

 著者が経済学者として同業の経済学者の生態を論評できるのは、学界で研究を極めたからこそである。経済学者が、日ごろどんな視点で社会を見つめ、政策提言をしているか。巷間で必ずしも高くない経済学者の評判の原因に鋭く言及しつつも、経済学者への悪評の誤解を解いている。読者が、経済学者の言動をどう理解すればよいか、大いに助けになろう。

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