『アメリカ経済 成長の終焉(上・下)』 評者・上川孝夫
有料記事
著者 ロバート・J・ゴードン(米ノースウェスタン大学教授) 高遠裕子、山岡由美訳 日経BP社 上巻/3600円・下巻/3800円
豊富な資料で長期分析 四つの逆風の近未来
リーマン・ショックから10年になるが、「長期停滞論争」が続いている。米連邦準備制度理事会(FRB)が「金融正常化」へかじを切り、人工知能(AI)やロボット技術などの登場で、米国経済の成長を楽観視する向きがある一方、経済成長の黄金期は終わったとの主張もある。本書は後者を代表する最近作だ。
本書は説得力ある説明を行うために、南北戦争(1861~65年)以降、最近までの米国の経済成長の跡を克明に追っている。結論は明快だ。1870~1970年は経済成長が進んだ「特別の世紀」であり、中でも1920~70年は労働生産性が高かった。しかしこれに続く1970~2015年は減速しており、特にインターネット・バブルの10年(1994~04年)の影響が一巡した後はペースが落ちている。これは楽観派の主…
残り810文字(全文1238文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める