教養・歴史Book Review

『会計の再生 21世紀の投資家・経営者のための対話革命』 評者・平山賢一

著者 バルーク・レブ(ニューヨーク大学スターン・ビジネススクール教授) フェン・グー(バッファロー大学准教授) 伊藤邦雄監訳 中央経済社 2800円

企業と投資家の対話で有効な財務情報の開示へ

 本書は、過去数十年にわたり精緻化されてきた会計基準では、投資家にとって有用な財務情報を提供できなくなっていることを、広く社会に問うたものである。わが国でも、企業と投資家のエンゲージメント(目的を持った対話)の重要性が注目されているだけに、両者の対話の前提になる財務情報の有用性が確保されているか否かという点は、重要な問題でもある。

 筆者たちは、財務情報と株価の関連性を検証することで、財務情報の有用性の低下とその要因を複数の視点から探っている。そこでは、企業が四半期ごとに報告する会計基準準拠の財務情報は、株価との関連性が急速に薄れてきていることを明らかにしている。その要因は、無形資産(研究・開発による技術など)が即時費用処理され将来の収益と対応していないこと、経営者の主観的な見積もりに基づく財務情報開示が蔓延(まんえん)して…

残り795文字(全文1256文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事