『脱ポピュリズム国家 改革を先送りしない真の経済成長戦略へ』 評者・小峰隆夫
有料記事
著者 八代尚宏(昭和女子大学特命教授・グローバルビジネス学部長) 日本経済新聞出版社 1700円
重層化する停滞を批判、求められる構造改革へ
憂国の書である。日本はいつのまにか、多くの分野でポピュリズムが蔓延(まんえん)する「ポピュリズム国家」になってしまった。求められている構造改革を阻んでいるのもこのポピュリズムだ。脱ポピュリズムこそが必要だと著者は説く。
本書では、次々に各分野におけるポピュリズムが指摘されていく。日本的雇用慣行に守られた「雇用ポピュリズム」、集積の利益を無視して人口分散を進める「地域ポピュリズム」、給付は手厚く、負担は軽くという「ポピュリズム政治」に翻弄(ほんろう)されてきた社会保障、都合の良い経済前提を置くことで、必要な対策を逃れる「ポピュリズム行政」によって負担を先送りしてきた「年金ポピュリズム」、画一的な介護を低価格で提供…
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週刊エコノミスト
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