『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』 評者・池尾和人
有料記事
半世紀の経済学の変化を一般向け、広範に概観
「思えば遠くへ来たもんだ」という歌があるけれども、経済学の現状に関しても同様の感慨を抱かざるを得ない。すなわち、この半世紀弱の間に経済学は大きな転換を経験した。現代の経済学は、市場理論を中核とした伝統的な経済学からは著しく様変わりし、多様な広がりをもったものに変貌してしまっている。
ただし、こうした経済学の現状は必ずしも広く知られているわけではなく、経済学を旧来的なイメージのままに捉えている人たちも少なくないと思われる。そうであれば、「現在の経済学の多様な進化の様相をできるだけ一般の人にわかりやすい仕方で解説すること」には意義があるとして、執筆されたのが本書である。 本書では、最初に市場理論の到達点を復習した上で、ゲーム理論の浸透、「期待」の役割を重視するマクロ経済学、行動…
残り759文字(全文1121文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める