『日本型資本主義 その精神の源』 評者・柳川範之
有料記事
著者 寺西重郎(一橋大学名誉教授) 中公新書 880円
起源と精神を見つめ「日本型」成立を追究
資本主義はどこから来てどこへ向かうのか。多くの人が関心を持つテーマだが、実はこのような「大きな物語」を語る本は、著者もいうように、最近比較的少ない。
そんな中、本書は日本型資本主義の「どこから」に比較的焦点をおいた力作である。新書ではあるが本書の内容を拡充させた英語版の専門書出版も予定されているように、内容はかなり濃密で深い。
著者の一連の研究を追っている読者を除けば、まずは日本型資本主義の源流が鎌倉時代後期にあるという記述に度肝を抜かれるのではないか。そして、一般に言われている儒教思想ではなく、この時代に形成された仏教思想が日本型資本主義の精神を形成するうえで重要だったことが詳細に検証される記述に唸(うな)らされるだろう。
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週刊エコノミスト
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