『嘘に支配される日本』 評者・浜矩子
著者 中野晃一(上智大学国際教養学部教授) 福島みずほ(参議院議員、社民党副党首) 岩波書店 1800円
新自由主義のなれの果て 反自由主義に対抗せよ
対談というよりはデュエットだな。読了後、そう思った。単なるデュエットではない。オペラの世界におけるデュエットである。
オペラの中には、さまざまなデュエットが登場する。まずは、恋人たちのデュエットが定番だ。恋のデュエット抜きのオペラというのは、まずない。だが、ラブラブ物に勝るとも劣らず、オペラの舞台を沸かすのが友情デュエットだ。同志たちのデュエットと言い換えてもいい。信念を共有する二人がその決意を表明し、目的達成に向けての義兄弟の契りを交わす。これが出ると、客席は騒然となる。
友情デュエットが絶大な盛り上がりを示すためには、共通の敵が必要だ。悪逆非道な奴らの撲滅を目指すべし。これを高らかに歌い上げ、がっちりと手を握り合う。この形でクライマックスに到達すれば、やんやの拍手間違いなしである。
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週刊エコノミスト
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