大論争 米長短金利逆転 景気後退ではない 投資利ざやは1%を維持=剣崎仁
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長短金利差の逆転(逆イールド)が生じてから18カ月程度で景気後退に陥ると、一般的に考えられている。その背景は、短期で資金を調達し、長期で資金を貸し出す銀行にとって、逆イールドが預貸利ざやの悪化をもたらし、長期の資金貸し出しを抑制するインセンティブが生じる結果、景気が後退するというものだ。
ただ、足元で長短金利差は着実に縮小しているにもかかわらず、米銀の貸し出し態度は悪化していない。銀行貸し出しの先行指標である米銀の企業向け融資基準判断DI(「厳格化」-「緩和」)をみると、大・中堅企業向け、中小企業向けともに「緩和」を維持しているのみならず、大・中堅企業向けはむしろ緩和度合いが高まっている。この点は、今後も貸出額が増加し続ける可能性が高いことを示している。
貸し出し態度が悪化する状況がみられていないのは、投資利ざやがプラスを維持していることがあげられよう。投資利ざやとは、投資収益率と資金調達コストの差である。十分な利ざやが得られる投資先がある限り、資金需要は途切れないため、銀行貸し出しは減少しない。
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週刊エコノミスト
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