法務・税務学者が斬る・視点争点

自治体が会計の現実に向き合う難しさ=澤邉紀生  

     

     地方自治体にもマネジメントが必要であり、マネジメントに役立つ会計データを整備する動きが国内でも急速に進んでいる。総務省が2016年に公表した「地方公会計の活用のあり方に関する研究会報告書」では、行政の効率化や適切な資源配分のために会計情報の活用が提案されており、それと呼応して、民間企業が利用している複式簿記に基づいた財務書類(「統一的な基準」による財務書類)を作成することが地方自治体に求められた。17年度で全国1788自治体の約98%が統一的な基準による財務諸表を作成している(表1)。

     旧来の現金主義の会計データ(単式簿記)では、現金の増減に焦点が当てられているため、どのような原因で現金が増えたのか(または減ったのか)、それがどのような効果を持つのかは二義的なものとなる。例えば、建物などであれば、取得した会計年度に現金支出処理してしまえば資産が計上されることもない。そのため日本の地方自治体では、保有資産に関する会計情報を最近までほとんど持っていなかった。

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