池谷裕二の闘論席 脳に眠った情報をAIに分析させると
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冬季スポーツのシーズンが始まった。毎年感動的なドラマを繰り広げるフィギュアスケートは冬季の花形種目の一つだ。フィギュアスケートは演技の難易度に応じてスコアが決められている。たとえばルッツジャンプはフリップジャンプよりも高い点が得られる。しかし両ジャンプを正しく見分けられる人はどれほどいるだろうか。私は解説者の実況がなければ皆目見当がつかない。
脳科学の視点からは、同じ映像を見た時、専門家には識別できるが、素人にはできないという状況は奇妙ともいえる。網膜までは誰にも平等な映像で届けられている。恐らく、すぐ下流の第1次視覚野も同様だろう。つまり、脳内の視覚神経情報としてはジャンプの種類はきちんと差別化されている。ところが私の脳は、自分の脳の初期反応の差異に気づくことができない。自分の脳が活用できないとは、いわば自己資産が凍結されている状況…
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週刊エコノミスト
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