教養・歴史闘論席

片山杜秀の闘論席 明治憲法制定時の難題

    撮影 中村琢磨
    撮影 中村琢磨

    明治憲法制定時の難題の一つは、天皇の位置付け。伊藤博文のもとで、条文作りに励んだ井上毅(こわし)は、天皇について最後にはこう考えた。

     条文では日本を「統治」するのは「万世一系の天皇」。井上によれば、この場合の「統治」とは自らの意思で政治をすることではない。井上は、天皇を鏡のような存在という。下々の気持ちをありのままに反映する。おのれの考えを持たず、言われたことをおうむ返しする。鏡であり、木霊(こだま)であって、実体がない。そういう存在だから責任意識もない。一種の無である。

     この天皇像はその後の天皇を律したか。必ずしもそうではあるまい。昭和天皇は自らの決断によって太平洋戦争を終わらせた。そして今上天皇は、平和憲法をはじめとする戦後民主主義の諸理念に忠実に振る舞おうとしているように見える。鏡や木霊とは違う。

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