「日本国」をつくったのは女性天皇だ=小林よしのり(漫画家)
日本に「天皇」号が誕生したのは、6世紀末の推古天皇の時。隋の煬帝(ようだい)に宛てた国書に「東の天皇謹みて西の皇帝に白(もう)す」と書いたのが最初である。
それまでは天皇ではなく「王」だった。王とは支那(中国)の皇帝の家来であり、王を戴(いただ)く国は支那王朝の属国を意味していた。
「天皇」は皇帝と同格で、「王」を拒否して国の自主独立を宣言する称号だったのである。
これと対照的に、朝鮮では19世紀末に李朝が終焉(しゅうえん)するまで一貫して「王」を名乗り、支那王朝の属国であり続けた。それが悔しいから、韓国のメディアは今でも天皇を「日王」と表記するのである。
歴史的事実からいえば天皇は神武天皇に始まるのではなく、女帝・推古天皇に始まる。
そして「天皇」の称号と「日本」の国号を「飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)」で正式に法制化したのは持統天皇で、これも女帝である。
わしは、初代天皇は推古天皇だと教えるべきだと思っている。神武天皇を初代天皇とするのは、神話・伝説の類いである。
神話・伝説も、それはそれで尊重すべきだが、神武天皇を初代天皇とするならば、その存在は神話と直結しており、皇祖神である天照大神までさかのぼらなければならない。そして、もちろん天照大神は女神である。
保守を自称する者たちがよく「天皇は神武天皇以来、一貫して男系」と言うが、これは完全におかしい。
歴史的に見れば天皇は女帝に始まっているし、神話・伝説から見ても、神武天皇のルーツは女神で、女系なのである。
女帝が排除されたのは、明治以降のことにすぎない。日本を本来の姿に戻すためにも、皇室典範を改正し、女性が天皇になれるようにすべきなのである。
(小林よしのり・漫画家)