美村里江の読書日記 人生初! 面白く読めたフランスの恋愛物語
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突然泣いたり怒ったり。堰(せき)が切れる瞬間がうまく理解できず、面白いと思えたことのなかったフランスの恋愛物語。それがやっと、30代半ばで現れた! 『セーヌ川の書店主』(ニーナ・ゲオルゲ著、遠山明子訳、集英社、2100円)。内面は傷つきながらそれなりの「和」をもって穏やかに暮らす主人公が日本人の感覚に似ていて、親近感を覚えた。
とはいっても、そのままズバリの恋愛ものではない。紳士的で物静かな50歳の書店主男性、ペルデュ。とあることで21年前の大失恋を思い出した彼は、衝動的に着の身着のまま自分の書店でもある船でセーヌ川を駆け出す。そこに1作目でヒットを飛ばし、2作目が書けずにいる若手作家が飛び乗り、器用貧乏のイタリア人も料理人として途中参加、男3人が自分の人生を見つめ直す冒険譚(たん)が展開される。
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週刊エコノミスト
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