目先の景気配慮先行の消費増税 社会保障制度の抜本改革先送り=前田浩智
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ドラマ「下町ロケット」(TBS系列、毎週日曜)は、倒産の危機にある下町の町工場に働く人々の夢と希望に満ちた奮闘の物語である。続編が10月から始まり、14日放送の初回で、こんなセリフが耳に残った。
「10年、20年、あるいは半世紀先を見越した時、このビジネスにはさまざまな可能性があります」
赤字が続く宇宙航空ビジネスを廃止する方針の大企業「帝国重工」の次期社長候補に対し、吉川晃司演じる宇宙航空部長・財前道生が事業存続を直訴する場面である。財前は、主演の阿部寛演じる中小企業「佃製作所」社長・佃航平のロケット打ち上げの重要なパートナー。次期社長候補は訴えに耳を貸さず、財前には異動が内示され、佃のロケット事業は難破寸前……、と話は流れる。
企業は経営が厳しくなると、不採算部門の見直しを行う。決算を作り、株主の理解を得るための合理的な行動ではあるが、社長をはじめとした役員は限られた期間内に業績を整えるよう迫られ、眼前の数字合わせに関心が集中しがちとなる。「将来性」という時間軸を置いた経営判断は時に脇に置かれる。目先しか見ない判断が繰り返されれば、企業は「衰退のワナ」にはまり込む。
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週刊エコノミスト
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