安保は棚上げ、経済協力で接近 日中の危うい「協調」路線=及川正也
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7年ぶりとなった日本の首相の中国公式訪問を印象付けたのは、人民大会堂(国会)で1000人を超える日中財界人が参加した「日中第三国市場協力フォーラム」だった。民間企業などによる52件の第三国経済協力に合意し、プロジェクトの署名式には安倍晋三首相、中国の李克強首相が立ち会った。経済協力をテコに、日中関係を前進させる──。日中友好平和条約締結から、40年。10月25日から3日間にわたった安倍首相の訪中から伝わるメッセージである。連載一覧
「『禍福は糾(あざな)える縄のごとし』。危機の中にチャンスもある。時勢をわきまえて潮流に従う人こそ、害を避けて利に走ることができる」。中国の習近平国家主席は10月26日の首脳会談の冒頭で、「史記」の南越伝にある故事を引き合いに安倍首相に語り掛けた。「幸福と不幸は、より合わせた縄のように交互にやってくる」という意味だ。悲惨な歴史を踏まえつつ、安定した日中関係を構築したいと訴えたかったのだろう。
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週刊エコノミスト
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