リーマン破綻を教訓に実現 日本国債の決済が1営業日後へ短縮=山本謙三
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今年5月から市場関係者による国債の決済が、それまでの約定の2営業日後(T+2)から1営業日後(T+1)へと短縮された。思い起こせば、短縮のきっかけとなったのが、今から10年前の2008年9月15日、米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻である。当時の国債決済は約定の3営業日後(T+3)で、巨額の「決済待ち」を抱えた状態であった。それでも、国債と資金の決済を守り、日本の市場の信認を維持するため、関係者は強い緊張感をもって処理に臨んだ。当時日本銀行で金融システムの担当をしていた筆者も、薄氷を踏む思いで事態を注視していた。
リーマン破綻直前の週末、米国では、ニューヨーク連邦準備銀行に主要民間金融機関が集められ、リーマンの救済策が協議された。話し合いが不調に終われば、週明けの破綻は免れない。日本でも、日銀、金融庁、金融関係者がそれぞれ情報の収集と対応策の協議にあたった。日本にもリーマンの現地法人があり、取扱高は上位五指に入るとみられる日本国債のビッグプレーヤーだったからである。この日本法人も、休日明けの火曜日の16日…
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