バルト海と西バルカンで火花 EUvsロシアの軍事的緊張=岩川柊子
有料記事
欧州とロシアの関係が悪化の一途をたどっている。2014年のロシアによるクリミア半島侵攻をきっかけに欧州とロシアの緊張が一気に高まり、NATO(北大西洋条約機構)やEU(欧州連合)が東方へと拡大した今、バルト海や西バルカン(バルカン半島西部)を舞台に激しい軍事的・政治的な駆け引きを繰り広げている。ただ、欧州側も一枚岩とは言いがたく、その結束が揺らげば冷戦時の暗い過去へ逆戻りしかねない状況にある。
クリミア半島は14年、ロシアがウクライナから「併合」したが、西側主要国は現在も認めていない。ウクライナ東部では親ロシア派と政府軍との間で現在も戦闘が続く。さらに、今年3月に英ソールズベリーで発生した元ロシア軍スパイ暗殺未遂事件や、4月に発生した同事件の化学物質分析を行っている化学兵器禁止機関(OPCW)へのサイバー攻撃、14年から続くロシアの中距離核戦力(INF)全廃条約違反により、欧州とロシア…
残り3852文字(全文4252文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める