週刊エコノミスト Online編集後記

編集部から 下桐実雅子/米江貴史

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編集部から

 11月13日号で「がんに勝つ薬」を担当した。本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授のノーベル医学生理学賞の受賞決定で、オプジーボなど免疫の仕組みを使った薬が改めて注目されている。ここで問題になるのは、「免疫療法」をうたう自由診療のクリニックだ。効果を示す十分なデータがないため公的保険がきかず、治療費は高額だ。

 がん患者の中には、わらにもすがる思いでそうしたクリニックに向かう人がいる。私が取材した男性もそうだった。最もがんが進行したステージ4だったが、2人の子は精神疾患を抱え、妻一人では支え切れない。男性もクリニックの治療を全面的に信用していたわけではないが、「ここで死ぬわけにはいかない」と話していた。

 治療費は1回50万円と高く、弱みにつけ込んでいると思う。だが、患者が抱える事情を聴くと「やめた方がいい」とは言えなかった。

(下桐実雅子)

 中学1年生までいわゆる「撮り鉄」の鉄道ファンだった。幼なじみと早朝から駅に行き、冬場は北陸から屋根に雪を積んでくる列車を狙った。だがやがて眠い目をこすって撮影に行く意味を見いだせなくなり熱は冷めた。

 最近、形を変えて熱が戻りつつある。大阪在勤中、幼少期のお気に入り列車が相次いで引退し、別れを惜しんだ。東京に戻ってからは、学生時代なじんだ東急渋谷駅や小田急下北沢駅の地上駅廃止日、仕事帰りに訪れた。身近な存在への愛着ゆえだろう。通勤をはじめ私たちの生活と鉄道はそれほど密接だ。

 今号は私鉄を特集した。沿線に住宅を作り乗客を増やす時代は終わったとされる。各私鉄は重点駅の魅力向上に傾注して交流拠点としての活発化を図る。時代は変われども、阪急電鉄の創始者・小林一三の「乗客は電車が創造する」という言葉は生きているようだ。

(米江貴史)

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