米中貿易戦争が両国の成長を阻害する=渡辺浩志
世界貿易は2016年以降、急拡大した。その主因はハイテク製品需要の急増だった。パソコン・スマートフォンなど既存のIT需要の循環的な増加に、AI(人工知能)やIoT(モノをインターネットに接続)、自動運転など新たなIT需要の爆発的な増加が重なった格好である。ハイテク製品の製造は国際分業、すなわち米国(開発・設計)→日本(半導体製造装置)→台湾・韓国(集積回路・電子部品)→中国(組み立て)というサプライチェーンで行われてきたため、1単位の製品需要が生産工程で何倍もの貿易を生み出してきた。
しかし、足元では世界貿易とハイテク製品需要の連動性が崩れ始めている(図1)。貿易量の下振れは国際的なサプライチェーンのほころびを示唆しているかのようだ。
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週刊エコノミスト
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