党派、世代、性別超えた合意形成へ 制度横断的な議論進める会議体を=駒村康平 本誌版「社会保障制度審」第25回
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今回は、2001年まで存在し、戦後の社会保障制度の青写真を作った社会保障制度審議会(制度審)からどのような教訓・メッセージが得られるのかを検証したい。現在、政府の経済財政諮問会議はもっぱら経済成長や財政制約の観点から社会保障制度を議論しており、制度審が担ったように将来の社会経済を見通し、長期的視点から制度横断的にあるべき社会保障制度を議論する会議体は存在しない。長期的視点からの制度横断的な議論のためには、厚生労働省はもちろん国家財政に責任を持つ財務省、社会福祉の現場を担う自治体を代弁する総務省などを巻き込んだ会議体の設置が必要であるが、その設置自体が各省の綱引きになるため、一行政官の手に負えるものではない。
こうしたなか、現実の社会保障制度の改革は、厚生労働省の社会保障審議会を舞台に年金、医療、介護など個別制度ごとに、当面の課題への対応という短期的な視点で、現実的な積み上げ、利害調整による「部分均衡型」の制度改革が進んでいる。このように改革された社会保障制度が将来、全体としてどのような国民生活を保障するのかという視点はそこにはない。実際に経済財政諮問会議にせよ、社会保障審議会にせよ、政府のいかなる文…
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週刊エコノミスト
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