荻上チキの読書日記 性差別をなくしたい 注目の心理実験と行動設計
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もう今年も終わりが近づいている。「性差別・オブ・ザ・イヤー2018」というものを決める風習が社会にあれば、「今年は大豊作」と言えるだろう。これはもちろん、踏まれた側からしたら、とても許せるようなことではない。
財務官僚によるセクハラ事件から省庁としての対応のまずさ。東京医科大および他大にまで広がっていた性差別入試。二階俊博議員の「『産まない幸せ』は勝手」、杉田水脈議員の「LGBTは子どもを作らない、つまり『生産性がない』」、加藤寛治議員の「私は結婚式(のあいさつ)では『ぜひとも3人以上、子どもを産み育ててほしい』という話をする」など、議員の問題発言のオンパレード。各企業や技能実習制度まで、あちこちで告発されるセクハラ。ようやく問題視されるようになってきたのだといえば前向きかもしれないが、「まだこのレベルか」という疲弊感も大きい。
こうした性差別の現状を変えるためにどうするか。伝統的なアプローチとしては、社会運動による問題提起と意識啓発、そして制度改革という流れになるだろう。このような手段は、根強く継続していかなくてはならない。他方で、ちょっとした「仕組み」を変えることで、身近な性差別を改善しようというアイデアもある。それらは、科学的な知見に基づき、さまざまな効果の立証されているものだ。
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週刊エコノミスト
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