新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online 書評 読書日記

高部知子の読書日記 文化か摩訶不思議か 日本人とお稲荷さん

×月×日

 まだ初詣には早いが、先日ちょっとした願掛けをしに伏見稲荷大社へ行ってきた。そこでおみくじを引いてみたのだが、それがなんと「大大吉」というものだった。大吉よりもっと良いものを授かったと思うと、ずっと気分が良い。不思議なものだ。そこで妙に伏見稲荷に親近感が湧いてしまって読んでみた。『お稲荷さんの正体 稲荷信仰と日本人』(井上満郎著、洋泉社、950円)。日本で一番外国人観光客が多く訪れるという伏見稲荷を総本山に、連綿と日本人に受け継がれている稲荷信仰に対する考察が書かれた本だ。稲荷は「イネ成り」で、私たちのお米の文化に伴って全国に広がっていくわけだが、著者によると伏見稲荷の主祭神は宇迦之御魂(ウカノミタマ)と読むが、このウカはウケのことで、伊勢神宮の豊宇気(トヨウケ)に共通するのだとか。『日本書紀』によると素戔嗚尊(スサノオノミコト)の子供が宇迦之御魂なので、天照大神のおいっ子が稲荷神社の神様ということになる。有名な狐はその従者で、神様本体ではないようだ。

 昔も今も、お米をたくさん持てる(買える)人はお金持ちだ。そこから商売繁盛の神様として日本人の心にすっかり定着しているお稲荷さん。普段は神も仏も信じないが、初詣に行っておみくじを引く人は、たくさんいらっしゃることであろう。そして私のように「大大吉」を引いて幸せな気持ちになる人も……。

残り757文字(全文1335文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事