週刊エコノミスト Online書評 読書日記

高部知子の読書日記 文化か摩訶不思議か 日本人とお稲荷さん

     まだ初詣には早いが、先日ちょっとした願掛けをしに伏見稲荷大社へ行ってきた。そこでおみくじを引いてみたのだが、それがなんと「大大吉」というものだった。大吉よりもっと良いものを授かったと思うと、ずっと気分が良い。不思議なものだ。そこで妙に伏見稲荷に親近感が湧いてしまって読んでみた。『お稲荷さんの正体 稲荷信仰と日本人』(井上満郎著、洋泉社、950円)。日本で一番外国人観光客が多く訪れるという伏見稲荷を総本山に、連綿と日本人に受け継がれている稲荷信仰に対する考察が書かれた本だ。稲荷は「イネ成り」で、私たちのお米の文化に伴って全国に広がっていくわけだが、著者によると伏見稲荷の主祭神は宇迦之御魂(ウカノミタマ)と読むが、このウカはウケのことで、伊勢神宮の豊宇気(トヨウケ)に共通するのだとか。『日本書紀』によると素戔嗚尊(スサノオノミコト)の子供が宇迦之御魂なので、天照大神のおいっ子が稲荷神社の神様ということになる。有名な狐はその従者で、神様本体ではないようだ。

     昔も今も、お米をたくさん持てる(買える)人はお金持ちだ。そこから商売繁盛の神様として日本人の心にすっかり定着しているお稲荷さん。普段は神も仏も信じないが、初詣に行っておみくじを引く人は、たくさんいらっしゃることであろう。そして私のように「大大吉」を引いて幸せな気持ちになる人も……。

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