教養・歴史書評 読書日記

高部知子の読書日記 あまたの死後の世界を生み出した人間の不思議

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 小さい頃から不思議だった。人は死んだらどうなるのだろう? いやだなぁ、死ななきゃいけないのに生まれてきちゃって。そもそも人って何なんだ? ずっとこんなことに興味があった。以前、『脳は利他的にふるまいたがる』(村井俊哉著、PHP研究所、1300円))という本を読んだ時に「死後の世界まで意識を延長させられるのは人間特有の能力」と書かれていたが、なるほど、その延長意識によって生まれた観念や文化は、社会の至る所に存在している。

『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』(中村圭志著、KADOKAWA、1800円)は、キリスト教以前の『死者の書』から始まり、『旧・新約聖書』、日本からは『古事記』、仏教からは『スッタニパータ』『往生要集』、文学からは『神曲』『遠野物語』『ムーミン谷の冬』まで、さまざまな分野から「来世観」を読みとく試みとなっている。

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