住商の北米鋼管事業 流通網改革で収益改善=種市房子 商社の深層/128
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最近3年ほど、住友商事の懸案だった鋼管事業の業績が回復している。売り上げや取り込み損益、配当収入などを合計した「基礎収益」は、2018年度中間期(4~9月期)決算で98億円。期初の通期予想(100億円)を上回るペースで推移している。
住商の中でも鋼管事業は名門だ。旧住友金属工業(現新日鉄住金)が得意とする鋼管を、世界の大手石油会社を顧客として納入しているからだ。最大の市場は北米だ。北米では、陸上・海底共に大型の石油・ガス掘削が行われてきた。浅い地点からも石油がわき出る中東などに比べて、北米は地中深くまでの掘削が必要とされ、シームレス(継ぎ目無し)の高付加価値の油井管が必要とされる。その北米流通市場では住商が長年取扱数量でトップだ。
住商は13年、シェール革命による石油・ガス開発加速を見込んで鋼材・鋼管問屋「エジェン」を約5億2000万ドル(当時のレートで約520億円)で買収した。しかし、15年に入ると原油価格が急落→資源開発がストップ→鋼管需要減という悪循環に見舞われた。エジェンから住商に入る15年度取り込み損益は、262億円の赤字(前年度は3億円の黒字)に転落した。
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週刊エコノミスト
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