教養・歴史コレキヨ

小説 高橋是清 第32話=板谷敏彦

    挿絵・菊池倫之
    挿絵・菊池倫之

     明治15年10月日本銀行誕生。設立に奔走したのはかつて是清とともにコロラド号で渡米した富田鉄之助だった。是清はこれまでの放蕩生活を脱し農商務省で官途の道を歩み始めている。

     明治14(1881)年5月25日、是清は旧友山岡次郎の推薦によって農商務省工務局調査課で働き始めた。

     工務局雇いの平官吏と地位は低くとも、与えられた任務は近代国家建設にとっては必須の商標登録並びに発明専売規則の作成である。後にこの二つに意匠登録を加えて特許三条例と呼ばれることになる。これは大隈重信らが追放された「明治14年の政変」の直前のことである。

     高橋是清はその人生において実に多くの事を成し遂げたので、特許に関する事績はあまり目立たないが、これ一つをとっても「特許制度の父」として明治の偉人の一人に数えられていいはずである。

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