国際・政治中国大失速

注目産業別総点検3 不動産 価格抑制策が市場を直撃=安田明宏

 中国の不動産価格は比較的落ち着いた状況が続いている。住宅購入戸数の制限、住宅ローン金利の引き上げなどの住宅価格抑制策を中央政府が堅持しているためだ。

 過剰債務の解消を目指す中央政府の意思は固く、2017年に1級都市(北京や上海、深センなどの大都市)や2級都市(南京や杭州、アモイなどの地方中核都市)で住宅価格が急落した局面でも方針を変えなかった。主要40都市合計の住宅販売面積も17年以降は勢いが感じられず、同30%を超えていた16年ごろと比べると非常に低い。抑制策が効いていることが分かるだろう(図)。

 19年に入り中央政府は景気対策を打ち出しているが、住宅需要の刺激策に頼る気配はなく、今後もこの方針は維持されると見られる。一方、不動産業者は非常に厳しい状況に追い込まれている。中央政府による引き締め策の影響により、不動産会社の資金調達環境が急速に悪化しているのだ。19年は国内外で起債された不動産開発会社の社債約1000億ドル(約11兆円)程度が償還期限を迎えるが、資金不足によりデフォルト(債務不…

残り740文字(全文1193文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事