週刊エコノミスト Online編集後記

編集部から 北條一浩/黒崎亜弓

編集部から

 著名人が違法薬物で逮捕された場合、出演番組から降ろされるのはもちろん、映画の公開は中止、旧作まで作品が回収されることも当然視されるようになってきた。

 法を犯した個人が裁きを受けるのは当然だ。しかし制作物には多くの共演者やスタッフが存在する。規制は他の人々の機会を奪うことにつながらないか。

 本誌で「読書日記」連載中の荻上チキさんは、個人の犯罪をスキャンダラスに報じるのではなく、薬物そのものの影響について報道するべし、という文脈で「薬物報道ガイドライン」を発表している(https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/110/)。私はこの姿勢に共感する。誰がどんな動機で薬物に手を染めたか、推測を「消費」するより、薬物の怖さと、依存に陥った人のケアを第一に伝える報道姿勢こそ、今強く求められているはずだ。

(北條一浩)

 岩手県沿岸の三陸鉄道を取材したのは昨年2月のこと。3月、震災から復旧したJR線が三陸鉄道に移管され、運行再開するという報道を機に、1年前の道中が思い返された。

 すし詰めの代替運行バスで高校生に交じって身を縮め、乗り換え待合所の寒さに凍えた時間。更地にぽつんと建つ被災庁舎。かさ上げ工事の車両が巻き上げる、あたり一面の土ぼこり。巨大な堤防。穏やかに光る海。

 1泊2日の出張は駆け足で、ひたすら乗り物に揺られていた。取材というより、ただ眺めている時間ばかりだったが、断片的な光景が焼き付いている。

 それは、文章や写真のように整理され、何らかの意味づけがなされて届けられる情報とは異なる。自分の身を置いて感じたものは解釈し切れないからこそ、こうして残るのだろう。

 そういえば三陸鉄道以来、出張取材をしていない。どこか遠くに行きたい。

(黒崎亜弓)

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