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財政再建と医薬品産業の競争力両立へ 薬の有用度別に自己負担割合設定を=小黒一正/41
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筆者は本連載第37回(3月12日号)で、「医療版」マクロ経済スライドについて語った。今回は薬価制度について提言をしたい。少子高齢化や人口減少が進む中、低成長の日本経済が抱える最も重要な課題は「財政再建と成長の両立」だが、この象徴的な事例の一つが「薬価制度と医薬品産業」であろう。いま薬価制度は、厳しい財政事情や医薬品産業のグローバル化などの影響を受け、さまざまな構造問題を抱えているためである。
まず、財政再建では、薬価改定を医療費抑制の手段に利用するケースが多い。実際、国の2019年度予算編成では、消費税増税に伴う19年10月の「診療報酬本体」(医師の技術料などに相当)の改定率を0・41%増とし、08年度以降7回連続のプラス改定とする一方、医薬品の公定価格である薬価部分はマイナス0・48%の改定となり、診療報酬全体で0・07%の引き下げとなった(図)。
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