小説 高橋是清 第41話=板谷敏彦
有料記事
(前号まで)
是清が欧米視察の旅に出ていた年、国内では内閣制度が発足した。近代化を急ぐ日本は鹿鳴館を作り欧化政策を進めるが、国論には列強との不平等条約への不満が沸騰していた。
第41話 順調なる人生
明治20(1887)年、是清32歳、ファンシー・ボールに代表される鹿鳴館外交が世間の非難を浴びる中、当時、野にいた不遇の熱い男、是清の盟友前田正名(まさな)も黙ってはいなかった。
政府首脳の狂態に憤慨し、彼らを糾弾する建言「人心作興の意見書」を書きあげると、是清に頼んで伊藤博文の懐刀と呼ばれた参事院議官の井上毅(こわし)(肥後)へ持ち込んだ。
残り2577文字(全文2848文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める